2015年から2020年のトータルで+351.39%を出している手法になります。
まずは立会外分売を知らない方に立会外分売とは何かということを説明します。
立会外分売とは、新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すことをいいます。
立会外分売は取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれます。
取引時間中にまとまった株数の株式を一度に売り出すと 株価は大きく値下がりする可能性があります。
しかし、取引開始前にあらかじめ決まった価格で売買を終えてしまう立会外売買なら、そのリスクを低減しながら株主を増やし、さらに流動性を高めることができます。
簡単に言えば大口が株を売り出しにかかるイベントと考えてもらって良いです。
基本的に立会外分売を利用した売買というのは、仕組みを知っている方なら各証券会社の抽選を受けて安く買って高値で返済して利益を出すのが一般的です。
が、今回の方法はその逆で「売りから入って利益を出そう!」というものになります。
※手法を公開した当時のものを基本的に記事にしています。その中で使えない情報も出てきているので一部新しく書き直しています。
立会外分売イベントの影響
基本的に立会外分売が発表された場合は株価は下がる場合がほとんどです。
理由は市場に出回る株数が増えることになるので株価の希薄化に繋がるからです。
このように発表された時点からはほとんどの場合で価格が下がります。
今回はこの力に便乗していくことになります。
立会外分売の日程
まずは日程の流れを覚えてもらう必要があるので説明します。
発表日
まずは立会外分売の発表日。
発表でよくあるのが決算とセットで出してくることです。
上記は株探の記事ですが、このように決算と同時に発表が多いです。
東証二部やマザーズの企業が東証一部の昇格の基準クリアのために株主を増やしたい場合に行うことがよくあります。
ただ、何の前触れもなくいきなり発表してくることもありますのでそこは覚えておいて下さい。
実施日
立会外分売は発表日からすぐ実施されるのではなく、実施日は発表日から何日か間をおいて設定されています。
下の画像は8月14日にキャンディルから出された立会外分売の開示情報です。
分売予定期間を確認すると8月22日~8月27日に実施を予定していると記載されています。
そして次に覚えていて欲しいことが、実施日はほとんど100%予定期間の一番始めの日に行われるということです。
実施されるのは始めの日だけで今回の場合で言えば8月22日に実施されるということです。
下記の画像は実施日の開示情報ですが8月22日に実施を行うことを明記しています。
中止の場合
20~30回に1回あるかないかぐらいなのですが、立会外分売を発表したけど実施日前に中止になるということがあります。
とりあえず「中止されることもあるんだな」ということを理解していただければ大丈夫です。
次に、売りの手順を具体的に解説します。
具体的な手順
手順解説は具体的に1つの銘柄を使って流れを解説した方がわかりやすいかと思うので、過去実際にあった立会外分売の銘柄で一連の流れを解説します。
開示情報の検索
まずは立会外分売の開示情報を知る必要があります。
材料はいつも株探で見ていますが、立会外分売の開示情報を全銘柄から毎日探し出すのは困難です。
なので開示情報を検索できる「TDnetSearch」というサイトを利用します。
https://tdnet-search.appspot.com/
※今回こちらのサイトを挙げましたが開示情報を検索できるサイトであればどのサイトでも大丈夫です。
検索窓に「立会外分売」と入力して検索をかけると、立会外分売を発表している銘柄がわかります。
開示情報のタイトルが「株式の立会外分売に関するお知らせ」と出ているものが新しく発表をした銘柄です。
「~実施に関するお知らせ」とはまた別なので注意して下さい。
この検索は毎日チェックするようにしてください。
開示情報は大体引け後に出してくるので夜に検索すれば発表しているかどうかがわかります。
★iphoneを持っている方であれば「適時開示なう」のアプリがあるのでそちらが便利です。キーワード登録できるので確認も一発で出来てオススメです。
貸借銘柄の確認
新規で売りを入れるには貸借銘柄でないといけません。
いつも貸借銘柄を確認しているのは株探のサイトを使っています。
銘柄情報の左上に「貸借」と書かれていれば貸借銘柄なのでこちらで確認できます。
株探ではなくいつも別のところで確認しているということであればそちらで大丈夫です。
逆日歩の確認
立会外分売のイベントは記事の初めの方で書きましたが、市場に出回る株数が増えることになるので当然売り込まれます。
売りが多くなれば貸株不足になり、おのずと逆日歩も発生しやくすなるので大体「今は発生しているのか」「過去どれくらいの逆日歩が発生していたのか」を軽く見ておいた方が良いです。
注 逆日歩は当日にいくらかかるかは翌日にならないとわかりません!
ただし逆日歩が出てもこの立会外分売イベントを利用した売り手法は期間が短いのでそこまでの金額にはなりません。
逆日歩がよくわからず怖いという方の為に一つ例を出します。
8203 ミスターマックス
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 | 逆日歩 |
1月25日 | 839 | 843 | 810 | 813 | 389500 | 0.05円/1日 |
1月24日 | 825 | 858 | 815 | 846 | 348100 | 0.05円/1日 |
1月23日 | 794 | 827 | 794 | 825 | 234400 | 0.15円/3日 |
1月22日 | 800 | 800 | 775 | 789 | 239600 | 0.05円/1日 |
1月19日 | 809 | 816 | 795 | 799 | 178300 | 0.05円/1日 |
1月18日 | 827 | 833 | 802 | 802 | 187200 | 0.05円/1日 |
1月17日 | 834 | 836 | 795 | 816 | 258800 | 0.05円/1日 |
1月16日 | 829 | 850 | 829 | 843 | 142000 | 0.15円/3日 |
1月15日 | 827 | 849 | 827 | 829 | 161900 | 0.05円/1日 |
1月12日 | 870 | 873 | 835 | 835 | 293700 | 0.05円/1日 |
この表は立会外分売を発表した翌日から実施までの日付と、その間の株価と逆日歩を出したものになります。
後に売りと返済の詳細な部分を解説しますが、今は逆日歩の説明を。
1月12日に売りを入れて1月25日の終値で返済とします。
この間毎日逆日歩が発生しているのですが、逆日歩は返済するまでの合計で出します。
返済した日は逆日歩はかからないので、かかる逆日歩は実質1月12日~1月24日
計算は、0.05+0.05+0.15+0.05+0.05+0.05+0.05+0.15+0.05=0.65
1000 株入れたとしても 0.65×1000=650 円しかかかりません。
もちろん銘柄によってもっと高額なものになるときもありますが、この売り手法は逆日歩が発生してもそれを上回るリターンを得られる確率が高いので勇気を持ってチャレンジしていただきたいです。
逆日歩の見方は当ブログの記事で解説していますので良ければ参考にして下さい。
新規売り
いよいよ新規に売りを入れる部分になります。
基本的な戦略としては立会外分売発表日の翌営業日始値で新規売りです。
9450ファイバーゲートは6月5日に立会外分売を発表しています。
なので売りを入れるのは翌営業日の6月6日始値になります。
返済買い
新規売りの手仕舞いである返済買いについて解説します。
基本的な戦略としては立会外分売実施日の前日終値で返済買いです。
9450ファイバーゲートの立会外分売発表の開示情報から実施日を確認します。
実施日は6月13日を予定しているとあるので、返済は6月12日終値になります。
※チャートの価格が違うのは株式分割後の為
トータル +20.9%
ちなみに今回は逆日歩もかかっていませんでした。
これはかなり取れた銘柄ですが、このような下げを狙って取る手法になります。
損切り
当初はどれだけ損失が出ていてもすべて実施日前日まではもっておくこととしていましたが、途中に損切ルールを設けた方がパフォーマンスが良かったのでそちらをご紹介します。
損切ルールは
新規売り価格を陽線終値で更新かつその陽線終値の価格からもう一度陽線終値で更新した価格で損切り
文字にするとかなりややこしいので、これはチャート例を使って説明します。
赤矢印が売りを入れた日足 青矢印が損切りした日足
理解すればかなり単純なルールです。
(確認したけどまだ理解しづらいという方がいれば、当ブログに過去のデータを載せて損切りした日をわかるようにしているのでそちらを活用して下さい。詳細は記事の後半の方に記載しています。)
この損切りルール、しっかり守らないと過去には以下のような銘柄に一発でやられてしまいます。
3561 力の源ホールディングス
発表日 2017/11/09 (木) 実施日 2017/11/29 (水)
立会外分売の発表翌営業日の赤矢印日足に新規売り。
立会外分売実施日前日の青矢印日足で返済買い。
通常通りの売買をしてしまうと、結果的には-87.67%損切りになります。
(ちなみに逆日歩も高額で、トータル 22.5 円が別にかかります)
しかしこれが損切りルールの緑矢印日足で返済買いをした場合-9.69%で済みます。
(逆日歩もトータル 2.75 円だけで済みます。)
損切りルールはとても大事なので必ず守りましょう!
手順まとめ
手順を改めてまとめてみました
開示情報の検索
↓
立会外分売の発表日から実施日の確認
↓
貸借銘柄かどうか
↓
逆日歩について(軽く見ておく程度)
↓
発表日翌営業日に新規売り
↓
実施日前日終値で返済買い
(途中損切りルールにかかればルール通り返済買い)
以上になります。
気を付けるべき点
福証・名証・札証などの地方銘柄は避ける
地方銘柄は特に出来高がかなり少ない銘柄が多く売買がしづらいのと、逆日歩がかなり高額になりやすいので立会外分売発表があっても見送ったほうが良いです。
他に良い銘柄はたくさんあるのでそちらで利益を出していきましょう。
中止の場合は発表された時点で即返済買い
立会外分売が発表され、実施日までの間に中止になることがあると説明しました。
その際にもし中止になった場合は発表に気付いた時点ですぐに返済買いをして撤退して下さい。
中止発表が引け後なら翌日の寄りで撤退です。
売られる理由がなくなるので迷わずに実行するようにして下さい。
過去データ参照
7810 クロスフォー
発表日 2020/12/15 (火) 実施日 2020/12/23 (水) +8.37%
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 | 逆日歩 |
2020年12月22日 | 236 | 240 | 228 | 230 | 296,600 | 0.05円/1日 |
2020年12月21日 | 246 | 247 | 241 | 241 | 105,600 | 0.05円/1日 |
2020年12月18日 | 251 | 252 | 249 | 250 | 68,700 | 0.05円/1日 |
2020年12月17日 | 253 | 255 | 252 | 252 | 68,000 | 0.05円/1日 |
2020年12月16日 | 251 | 258 | 251 | 254 | 216,700 | 0.15円/3日 |
2015年~2020年の計6年間の過去データをブログで作成しています。
こちらも完全無料といきたかったですがデータだけは有料となっています。
(手法すべて公開しているので株探や逆日歩が載っているサイトを見てご自身で検証可能です。なのでこちらは必要な方だけ購入して下さい)
銘柄の損益がわかるようにしているのと、逆日歩が何円ついているかも記載しているので検証する際の参考にして下さい。
よく勝った銘柄から最高値だけを載せてすごい取れているかのように見せるものが多いですが、結局のところ損切りをしてもトータルでプラスになっていることが重要です。
なのでご自身で何か検証されるときはいくら取れているかではなく、損切り部分をしっかり検証するようにして下さい。
イベントドリブン
このようなイベントを利用して利益を上げる手法をイベントドリブンと呼ぶらしいです。
気になったので実際に私も購入しましたが、この本は非常に良くできています。
立会外分売に関しても掲載していてその他にもイベントを利用した手法がいくつか載っています。
記事のような手法に興味を持ってもらえた方であればかなりおすすめで、
本の内容通りに検証して取引するのも良いですし、自分なりにカスタマイズして検証して手法をつくるのにも使える本であると思います。
是非一度読んでみて欲しいです。
さいごに
手法というものは世の中に知られれば知られるほど同じように機能しなくなっていくものです。
初日にエントリーするがよく踏み上げられるようになったり、返済買いの日にはいつも価格が高い位置にあったり。
もし、このイベント売り手法が多くの人に知られていけば値動きは変わっていくことになります。
その際はご自身で手法の微調整を行って柔軟に対応していって下さい。
「初日に踏み上げられることが多くなったら2日目からエントリー」などやり方は色々あります。
優位性があるということはデータで裏付けが取れていますが、入るタイミングや出るタイミングを変えるということです。
それだけはご自身でしかできないことなのでよろしくお願いします。
以上がぜろぷらすイベント売り手法のすべてになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※手法は利益を保証するものではありません。最終的な判断は自己責任のもとご利用ください。